2011年05月13日

本番直前!作品紹介 第二部「缶詰族」

第二部
『Tin Can People(缶詰族)』
ボンドとバーミンガムの学生とのやり取りにより書かれた作品で、4つのコロスと三節の物語から構成されています。
物語は中性子爆弾が落ちた後の世界を舞台に、ある男が生き残ったコミュニティの女と出会うことから始まります。

第一節 地獄の天国
第一のコロス
第二節 缶詰暴動
第二のコロス
第三のコロス
第三節 若き賢人たち
第四のコロス

※コロスとはコーラスの語源で、もともとはギリシア劇で劇の進行を補ったり、劇の背景やテーマを要約したりする解説者と登場人物の中間のような存在です。

余談ですがバーミンガムと言えば(イギリスとアメリカの違いはありますが)、アンディ・ウォーホールが1963年に”Red Race
Riot(赤の人種暴動)”という作品を発表しています。
アメリカのバーミンガムで実際にあった事件を題材にしており、新聞記事に掲載された写真のシルクスクリーンで
モノクロ、赤と黒など3種類の異なる色と構成の作品があります。
この作品からは、暴動を起こすのは市民ではなく公権力であるという、皮肉めいた批判が読み取れます。
ボンドがこの作品にインスパイアされたという証拠はありませんが、
第二節のタイトルとの類似性”Tin Can Riot(缶詰暴動)”、缶詰めを題材に資本主義をテーマとしているなど、いくつか面白い共通項があります。

それでは!後は劇場で、ゆっくりお楽しみいただければと思います。
ご来場、心よりお待ちしております。
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本番直前!作品紹介「戦争戯曲集」三部作 第一部「赤と黒と無知」

アカデミー修了上演学芸班の川上です。
今、劇場では場当たりの真っ最中、そして、夜はいよいよ通し稽古を行います。

では、今から、明日、明後日、ご来場くださる皆様に、『赤と黒と無知』『缶詰族』の二つの作品について、より詳しくご紹介します!

エドワード・ボンドの戦争戯曲集は三部作となっています。
第一部『Red Black and Ignorant(赤と黒と無知)』、第二部『Tin Can
People(缶詰族)』そして第三部『Great Peace』の三作からなります。
今回の私たちの修了上演では、上記三作のうち第一部と第二部を上演します。

戦争三部作の着想の源のひとつとして、第二次世界大戦中の日本への原爆投下があります。
戯曲にある怪物の容姿の記述「衣服は煤け焼け焦げて」や「髪は釘のように真っ直ぐな堅いスパイク状」といった記述は、原爆投下後の被爆者を描いた絵画を参考にしています。
また作品の書かれた1980年代初頭、イギリスとアルゼンチンの間でフォークランド紛争が起こりました。
(国によっては紛争ではなく戦争と呼んでいます。)
これは近代化された西欧の国同士の最初の争いで、新たな兵器を試す格好の機会となりました。
当事国の人たちにとって、核の脅威が明日起こるかもしれない恐怖として感じられた事は、想像に難くないです。
ボンドはこの時、核戦争を題材に断片的な作品を発表していました。
その後、NATOにより核ミサイルを配備されたシチリアのパレルモに招かれ、
現地の学生たちと共に当時の緊張状態を題材に、即興劇を行いました。
これが後に”パレルモ即興”と呼ばれ、戦争三部作に繋がる流れとなりました。

第一部『Red Black and Ignorant(赤と黒と無知)』
世界を破壊する爆弾により、この世に産まれえなかった「怪物」を主人公にした物語です。
以下、9つのパートで構成され、怪物を中心に寓意に溢れたメッセージを伝える作品です。

一 紹介
二 学習
三 愛
四 食事
五 販売
六 仕事
七 軍隊
八 人間という名を喜んで捨てられる者はどこにもいない
九 葬儀

実際に劇場で見ていただきたいので、詳細についてはここではもちろん、触れません。
上演までの間、各タイトルからいろいろ想像を膨らませてください。

今回の上演では「紹介」の母と「学習」の少女、「食事」以降の妻の配役がダブルキャストとなっています。



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2011年05月12日

前売り券完売!!/振り替えのチケットを持っているお客様へご連絡

いよいよ本番2日前となりました。
今日は劇場での仕込みを行っています。毎日劇場で過ごしている私たちも、初めてつかわせていただくことに胸が高鳴る、座・高円寺1の劇場です。

そして、前売り券ですが、すべて完売いたしました。ご予約頂いたみなさま、ありがとうございます!!
当日券は、若干枚数、ご用意させていただきます。

また、振り替えのチケット(3月26日〜28日)を持っているお客様にご連絡です。
◆かならずチケットを持って、ご来場くださいますよう、宜しくお願い致します。チケットを持たずにご来場頂いても、入場していただけませんので、くれぐれもチケットを忘れることのないよう、よろしくお願致します。
◆また、14日に振り替えを予定していて、15日にいらした場合、3月のチケットをお持ちいただいても、
申し訳ないのですが、ご入場はしていただけませんので、必ず自分が予約をした日にいらしていただきますよう、
宜しくお願い致します。15日に予約を入れていて、14日にいらした場合も同様です。
◆キャンセルのご連絡は、当日劇場の代表電話(03−3223‐7500)にご連絡ください。
その場合、チケット料金について、払い戻しは致しかねますので、ご理解くださいますよう、宜しくお願い致します。
◆振り替えチケットの受付は、1時間前からになります。受付での混雑が予想されますので、お早めにご来場いただきますよう、
お願致します。

最後まで、より良い作品になるよう、取り組んでいきます。
1期生一同、心よりご来場お待ちしております。

修了上演
制作班
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2011年05月08日

エドワード・ボンドの紹介

こんにちは。アカデミー修了上演学芸班の佐々木琢と川上直毅です。
今日は私たちが上演する『赤と黒と無知』『缶詰族』の作家であるエドワード・ボンドについて、みなさんに紹介していきます。

○少年期

ボンドは1934年7月、イギリスのロンドンで生まれました。そして第二次世界大戦中のロンドンで、労働者階級の子供として育ちました。
教育のあり方に批判的だったボンドは、15歳の時に上級の学校に進む資格がないと通告され、あっさりと退学します。
そしてその後、工場労働者、ペンキ屋、保険会社の事務員などの仕事を転々とし、1953年から2年間兵役に服します。
感受性の鋭いボンドは、戦争がもたらした不条理な体験から、世の中の矛盾を知らされたようです。
ボンドは少年らしい探求を始め、それが作家になる最初の原動力になったと話しています。
兵役をすませた後、ボンドは「パズルを解く」ような気持ちでものを書き始め、最初に短編小説を書きあげます。
人間性を愛する純粋さ、それを守らねばならないという強い使命感と正義感は、この時期に彼の心の中に深く根を下ろしたと言えるでしょう。

○演劇の道へ

ジョン・オズボーンやアーノルド・ウェスカーなどの新しい演劇の到来などに刺激され、ボンドが書きたいと思っていたことはいつの間にか「対話と葛藤の形」に出来上がっていました。
除隊してから2年間、ボンドは様々な職につき生計を立てるかたわら、ありとあらゆる演劇を観るように努め、また書く習慣を身につける努力を怠りませんでした。
そして1958年、ボンドが20代半ばの頃に、ロンドンのロイヤル・コート・シアターに作品を送ったことをきっかけに同劇場のライターズ・グループ(作家集団)に加わり、本格的に執筆活動を始めます。このグループは1958年に設立され、キース・ジョンストンとウィリアム・ギャスキルという優れた演出家が指導に当たっていました。(余談ですが、キース・ジョンストンは過去に劇場創造アカデミーで特別講義を行いました。)
同時期にこのグループにいたオズボーンやウェスカーとならんで、ボンドはイギリス演劇に新しい流れを切り開きます。
1960年の終わりに、ボンドはキース・ジョンストンの紹介でロイヤル・コート・シアターの脚本係となります。
(時折俳優として舞台にも出ていたそうです。)
それからその後1968年まで、ボンドはロイヤル・コート・シアターと係わります。

○劇作家として

ボンドは『The Pope's Wedding』で劇作家としてデビューし、その後『The Saved』『Early Morning』などの作品を発表しますが、
当時の英国の検閲制度に引っかかってしまいます。
しかしこれらの作品を上演した劇場が訴えられたことが契機となって、世論が味方して各地で検閲反対運動が起こりました。
ピーター・ホールやデイビッド・ラドキンらの新しい演劇と共に評価され、1968年には検閲官の廃止が決定されました。
日本との係わりでは、この時期の『Narrow Road to the Deep North』という作品で、ボンドは松尾芭蕉を題材にしています。
その後ロイヤル・コートの依頼、英国のアーツ・カウンシルから助成金を得て作品を書いていたボンドですが、
次第にヨーロッパでも評価されるようになり、イギリスの批評家からは「ヨーロッパの劇作家」と評されるようになります。
ボンドの演劇は難解です。
しかし歴史や暴力、戦争を題材に社会とその問題、そしてそこに解答を探しています。
ボンドの演劇は問題の分析であり、その探求は国も言葉を超え人々の共感を呼んでいます。
posted by アカデミー1期生 at 13:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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